なごやかこどもクリニックの過去のブログ

2009.10.03更新

10月3日(土)学会最終日

  本日で学会最終日となる。昼のランチョンセミナーの「進化からみたヒトの子供の特殊性」が面白かった。人類学者の長谷川真理子先生による講演で、ヒトの子供を他の動物(チンパンジーなど)と比較した話である。ヒトでは幼児期から思春期(生殖期)にいたる「こども時代」が他の種に比べ非常に長いとのことである。人間の文明が高度に発達したため、この社会の一員として適応するまでの訓練期間として長期間の「こども時代」が必要になったらしい。確かに小中学校から高校や専門学校さらには大学と教育訓練期間が長く、二十歳近くなってやっと一人前の大人となる(最近では二十歳すぎても自立しない若者も見受けるが)。この教育は親だけでできるものではなく(ヒト以外の動物は原則家族内の教育のみ)、社会全体でとりくむ必要があるというようなことを言われたように思う。確かに現代の子育てが「家庭内」のみになりがちで、様々な問題が引き起こされている原因のひとつがここにあるのかも知れない。また普通の動物は生殖期(繁殖期)が終わると死に至るのが普通だが、ヒトの場合は老後の時期が長い。なぜヒト(特に女性)ではこのような事態が起こったのか。医療が発達したということもあるが、高度に発達した人間社会では、長生きした人の知識や経験をより若い世代に伝えることが必要になるようだ。このように考えると、おばあちゃん(おじいちゃん)が娘の子育てを手伝うことは、人類学的に見ても理にかなっているようだ。霊長類の頂点にいるヒト(ホモサピエンス)の文明を支えている要因の一つは、この長い「小児期」と「老人期」なのかも知れない(私の勝手な拡大解釈か?)。
  このあとのシンポジウムは「1型糖尿病の新しい治療法(CSII):川村先生」と「思春期発来異常:田島先生」に関するもので、どちらも興味深いものであった。来年の本学会は大阪で藤田敬之助先生が担当される旨を報告される。最後に会長の有坂治先生が閉会の挨拶をされ学会は終了となった(事務局長の小山さとみ先生もご苦労様でした)。夕方某製薬会社が主催する研究会に出席する。小児内分泌分野での経験豊富な先生方(開業医)が全国より一堂に会する、迫力のある研究会の発足であった。この後2,3人でやはり「泉町通り」に繰り出しお酒を楽しみ、やや疲れ気味の私はホテルに戻り眠りにつく。明日は東京を経由して名古屋へ戻る。宇都宮餃子をお土産にしよう。宇都宮の印象は「ジャズ」「カクテル」そして「餃子」といったところか(またしても呑むこと、食べることになってしまったが)。

投稿者: なごやかこどもクリニック