なごやかこどもクリニックの過去のブログ

2010.05.04更新

5月4日(火)室生寺の石楠花


朝宿を出てバス(奈良交通)で室生寺に向かう。奈良時代の末期、山辺親王(後の桓武天皇)の病気平癒を祈願したのが室生の地であった。後に興福寺の高僧により室生寺が創建された。この寺は真言密教の道場として親しまれまた女性にも開かれて、鎌倉時代以降「女人高野」とよばれるようになった。江戸時代(五代将軍綱吉)に興福寺の支配から離れ真言宗の寺院となる(真言宗室生寺派大本山)。バス停から太鼓橋を渡り表門、仁王門を抜けると鎧坂と呼ばれる幅広い石段の両側にたくさんの石楠花(しゃくなげ)が咲いている。これほどの石楠花を真近に見るのは初めてである。また秋には紅葉が美しいとのことである。この坂を上がると「金堂」(国宝:平安時代前期)が目の前だ。ここには本尊の釈迦如来像(国宝)や十一面観音像(国宝)などの五尊が並ぶ。金堂の左手にある「弥勒堂」には弥勒菩薩(重文)、優雅な釈迦如来坐像(国宝)がおわす。それにしてもこのように国宝がいくつもあるという、この寺の長い歴史とその重みを感じる。

ここからかなり急な石段を登ると(なかなかしんどい)本堂(国宝)にたどり着く。ここは真言密教で最も重要な儀式である「灌頂」が行われる場所とのことだ。この本堂には厨司に如意輪観音像(重文)が安置されている。ここでしばらく休憩のあと、石段を下ると五重塔(国宝)が目に入る。この優雅な塔は屋外の五重塔としては最も小さく、古さは法隆寺の五重塔につぐものであるという。この塔の周囲にも石楠花が咲いている。室生寺からバスで室生寺参詣の四門のうちの西門である大野寺を訪れたあと、大野駅まで歩いて近鉄で帰路へ。名張で特急に乗り換えて名古屋にもどる。

今回は一泊二日と短かったものの天気もよく、花々と優雅な仏像達と出会えた旅であった。また日本の歴史の古さと重さをあらためて確認させる旅でもあった。

「石楠花(しゃくなげ)に 埋もれておわす 釈迦如来  隆」


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表門;ここを右に進むと仁王門にいたる

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仁王門

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鎧坂: 石段の両側の緑と石楠花が春らしい。坂の上に金堂がみえる。

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五重塔(国宝): 新緑と石楠花に包まれた優雅な塔

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御影堂: 長い石段を上がるとここに付く。向かいに本堂(国宝)がある。

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石段を下る。

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十一面観音様のお地蔵さん:
お賽銭として「11円」が置かれていた!

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金堂(国宝): 本尊の釈迦如来像(国宝)を中心とした五尊像を拝観する ため、多くの人が並ぶ。威厳の中にも優美さをたたえるこの「釈迦如来」を写真でお 見せるできないのが残念である。

投稿者: なごやかこどもクリニック

2010.05.03更新

5月3日(月) 奈良大和路の長谷寺


5月の連休はどこへ行っても込むので例年名古屋で過ごすことが多いのだが、今年は偶然宿がとれたので家内と一泊二日の旅にでる。近鉄の名古屋駅から伊勢中川で乗り換えて長谷寺駅で降りる。かなり遠いところと思っていたが、近鉄で名古屋から約2時間で来ることができた。ここは奈良県桜井市になるのだが、駅から歩いて本日の宿「井谷屋」まで行く。ここは嬉しいことにこの地区で唯一温泉のある宿である。宿から歩いて数分のところに長谷寺がある。この寺は万葉集にも歌われるような古い歴史を持ち、「長谷寺(はせでら)」という名前はこの地区が「初瀬(はつせ)」とよばれていたことに由来するようだ。

山の斜面に作られた境内はゆるやかな上り坂になっている。この時期らしく新緑がまぶしく「花の御寺」といわれるだけあって、いろいろな花が美しい。なかでも「ぼたん」が有名で、いろんな色のぼたんが咲きみだれている。それにしてもこれだけの種類とボリュームのぼたんをみるのは初めてのことである。この寺は真言宗豊山派の総本山で、その歴史は西暦686年に道明上人が天武天皇のためにこの地に仏塔を建立したのが始まりで、その後727年道徳上人が聖武天皇の勅により二十一面観音をおまつりし、以来1300年余り経た今日でも多くの人々の信仰を集めている。

ご本尊の「十一面観世音菩薩像」(重要文化財)は巨大で下のほうから見上げても、そのお顔を拝することはできない。木造の仏像としては日本最大のものであるという。その他国宝級の仏像や絵画(歴代徳川将軍の肖像画)など多数存在するが、限られた時間内に全部を見ることはできなかった。この観音が安置される本堂(国宝)から眺める山の緑がより生き生きと感じる。夕方には宿にもどり山菜の豊富な食事と温泉にはいれたためか、朝までぐっすりと眠れた。
「ぼたんひとつ おちるか 初瀬の寺  隆」


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長谷寺の入り口: 仁王門

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紀貫之(866-945)の歌碑。紀貫之が長谷寺を訪れた際に詠まれた詩といわれる。 故里の梅 人はいさ心も知らず 故里の 花ぞ昔の 香にほいける(古今集)

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御本尊「十一面観世音菩薩」の案内図:  この観音像は高さが10m以上 あり、木像仏として日本最大である。

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本堂(国宝)を背景に咲き乱れる種々の牡丹

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一輪の牡丹: 中国(唐)の皇帝より贈られた数本の献木が始まりのよう である。

投稿者: なごやかこどもクリニック