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2012.04.25更新

平成24年4月19日〔木〕 第85回日本内分泌学会学術総会

この日から名古屋の国際会議場で総会が開かれた。会長は名古屋大学 糖尿病内分泌内科教授の大磯ユタカ先生である。名古屋で小児内分泌をやっている私には、20年以上にわたってお世話になっている先生である。会長講演では脳下垂体後葉、尿崩症に関する長年の研究成果を話された。これまで部分的には大磯先生のお話を聞く機会はあったのだが、このように系統的にお聞きすると学問的な重みと内分泌に関する情熱に改めて感動させられた。このような先生と身近に内分泌の仕事ができたことは嬉しいことでもあり、光栄でもある。最後に近年話題となっている再生医療についても言及された。ES細胞やiPS細胞などから組織や臓器を誘導、発生させる技術が近年飛躍的に向上し、歯や筋肉あるいは神経などが再生される日もそう遠くないことと考えられる。大磯先生がこれから取り組まれるのが、何と!脳下垂体の再生医療とのことであった。動物ではすでに一部成功しているようだ。もしこれがヒトで可能となれば、脳腫瘍などで下垂体機能を失った人には大変な朗報となるであろう。ロマンチストの大磯先生らしい夢のある講演であった。この総会が名古屋で開催されるのは今回で3回目である。前回の会長は名大脳外科教授の景山先生(故人)であった。次に名古屋で開かれるのは30年くらい後か(その頃私は生きていないと思うが)。

東京女子医大の高野加寿恵教授の講演も印象的であった。高野先生は成長因子の一つであるIGF-1の研究から、低身長の臨床研究などの長年にわたる経験を話された。私の研究領域と重なることもあって、興味深くお聞きした。また多くの女性の内分泌研究者を育てられたことも、高野先生の大きな業績である。大磯先生、高野先生と私にとって長年にわたって身近で研究上でも個人的にもお世話になった先生のお話を聞くことができたことが、今回の学会の最大の成果であったと思う。


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日本内分泌学会学術総会



投稿者: なごやかこどもクリニック