院長ブログ

2021.04.09更新

 

体質性(特発性)低身長について

1.体質性低身長の原因は?
私のクリニックでは背の低い(低身長)多くのお子さんの診療をしています。ホルモン(成長ホルモンや甲状腺ホルモン)の異常や、染色体などの異常などが原因となることもありますが、多くはそのような異常はみられません。このようなお子さんは「体質性あるいは特発性低身長症」と呼ばれます。世間的にはあの子は「小柄」などと言われます。人間の身長を規定する因子(遺伝子)は両親から引き継がれますが、この力の弱い因子を引き継いだお子さんが低身長になると考えられています。体質性低身長の原因の約80%はこの因子によるものですが、後の20%は食事や睡眠といった環境因子によると考えられています。病気が原因である低身長には治療法がありますが、体質性低身長には薬物治療などの方法はありません。
 
2.身長を伸ばすには食事(蛋白質)が最も重要です。
成長を規定する遺伝子を改変することができれば、根本的治療となりますが、そのような方法は技術的にも倫理的にもありません。なので残りの20%の環境要因を改善することが、お子さんの身長を少しでも伸ばす手段と考えられます。最も大事なのは食事です。三大栄養素として糖質、脂質、蛋白質がありますが、このうち筋肉や骨など体の成分となるのは主に蛋白質です。背を伸ばすには十分な蛋白質をとることが必要です。蛋白質の1日の必要量はお子さんでは 体重Kg x1.5gとなります。そしてこの蛋白質は朝、昼、夕と分けて摂ることが必要です。背の低いお子さんは、食欲が少ない(食が細い)傾向があります。なので糖質や脂質は少なめでもいいので、タンパク質を充分とるようにお話しています。特に朝ごはんが少ない(あるいはとらない)お子さんが多いので。朝にはしっかり蛋白質をとるようにもお話しています。蛋白質が多いのは肉や、魚、豆類などです。アレルギーがなければ卵(1個で約6gの蛋白)がおすすめです。

投稿者: なごやかこどもクリニック