血中コレステロール値は食事や運動などの生活習慣が原因で高くなることが多いのですが、遺伝が原因で特にLDL(悪玉)コレステロールが高いのが特徴的なのがFHとよばれます。コレステロールは細胞膜にある受容体(レセプター)を介して、細胞内に取り込まれます。このレセプターそのものに異常があるとコレステロールがうまく取り込まれず、血中コレステロール(特にLDL)が高くなります。遺伝形式は主に常染色体優性(顕性)遺伝で、この異常が親から子供そして孫へと伝えられます。
コレステロール(LDL)は血管内皮に蓄積し動脈硬化を引き起こします。とくにFHの方は若いころから動脈硬化が進むことが分かってています。進行すると、男性では20-40歳代、女性では30-50歳代を中心に狭心症、心筋梗塞や脳梗塞といった病気を起こす確率が高くなります。
このFHは200-500人に一人の割合で発生し、全国で約30万人以上の患者さんがいるものと推定されています。ただ私の実感としてもう少し多いのではないかと思います。診断基準として、1 LDL コレステロール値が高い(180mg/dl 以上)。2 両親や親族にLDLコレステロール値が高い人、あるいは心臓病の人がいる。などがあります。お子さんのLDL値が高いと診断された場合、ご両親のどちらかがやはりLDL値が高い可能性がります。これを放置すると、心臓や脳の病気を引き起こす確率が高くなるので、できるだけ早期に食事などによる予防や、薬物治療が必要となります。